上村松篁の作品を見てきました。
これは、松篁ですら近代リアリズムの潮流に呑まれ、永らく水の表現を”線”で現すことが出来なかった。
その文面の横に有る松篁の絵の水の表現は、ただただ”線”で単純に水が現せられていました。
この簡単な線を書くためには、いかにリアリズムの巨大な影響を無意識に受けていたかを自覚する必要が有ったことか。
無意識を自覚するとはとてつもない柔軟さと聡明さが必要であると思います。
日本画の伝統によれば、線による表現は特別なことではなかったとのことです。
すなわち、伝統に学ぶことの大切さを述べられていたと思います。
有名な画人の作品を見ていつも感じるのは、持って生まれた感性豊かな才能と、卓越した明晰な頭脳の両方が無くては特別な絵は描き得ない事です。