moyo : : diary

気持ちフォト士

茅葺きの里

美山町は茅葺き屋根の里。
 
今でこそ観光地と化しているが、25年前はどこにでも有るただの農村だったろう。
ここで藍染めをする人がいた。25年前に引っ越してきたのだという。
建物の小屋裏はオーナーが集めた世界の藍染めの展示場になっていた。(250円)
私が玄関で声をかけると奥から奥様が出てきて音楽をかけてくれた。
たまたま私の好きなキースジャレットのケルンコンサートだったのでうれしくなった。

茅葺き屋根の家は軒先が低いほうが好きだ。
ちょっと頭をすくめて中に入る感覚。玄関の所だけ軒をもち上げている建物も有る。
本来、妻面に入り口を設けることは少ない。(たまたま、先の藍染めの家は妻面からだった)
中に入るとススの匂いがする。これが茅葺き屋根の家独特の匂いだ。心地よい。
 
ここは白川郷のような大型の茅葺きは無い。
だからか、特別な場所に来たという感覚は湧かない。ごく普通に田舎の農村にやって来たという感じなのだ。
実際、ここに住む人もごく普通に生活をしている。それが、通りを歩いていると見えてしまう。
畳に寝そべりテレビを見ている人もいたり、庭でタバコをすっている人もいた。

たいへん美しいプロポーションの茅葺き屋根も危機的状況だ。
この美山町でも茅葺き屋根を鉄板葺きで包んでしまった家がかなり多い。
茅を手入れするより鉄板で包んだほうが安上がりなのだろうか?
 
耐久性は鉄板包みの方が劣ると思うのだけど。実際、鉄板が錆びてかなりぼろぼろの家も沢山有った。
何れにせよ、人が住まなくなった家は屋根が朽ち果てていく。これは茅葺き屋根の家だけのことでは無いようだ。