moyo : : diary

気持ちフォト士

心柱

薬師寺へお写経に行ってきました。

摩訶般若波羅蜜多心経です。 

お写経をすると境内を無料で参観できるのですが、東塔の麓に改修工事の説明や写真がありました。

薬師寺の東塔は今修理中で、鉄骨の大屋根にすっぽりと覆われていますが、つい先々月に修理した心柱を外から入れる工事があったそうです。

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そもそも、心柱とは相輪を支えるための柱であり、相輪とは何かと言うとアンテナであるらしいです。

古い記録では東塔の心柱の先端と相輪との接合部に仏舎利が納められ、その数、色まで記述が残っており、今回の修理では記述通りの仏舎利が出てきたそうです。

これは大変なことです。

もともと相輪の先端の宝珠には仏舎利が納められると言われますが、薬師寺三重塔は相輪と心柱の接合部に納められているのです。

今回の修理では心柱の根本から腐食して柱中程が空洞になってしまっていたとのことですが、記述の通り、この心柱は仏舎利を納めアンテナを乗せる重要な機能を持っており三重塔はこの心柱を保護するために作られた単に外皮の様なものということです。

ですから、心柱を取り替えるなどとは有ってはならないことで、いちばん大事な守らなくてはならないものが心柱とのことです。

したがって、一旦心柱を抜いて心柱を補修しもとに戻すという大変な作業を行ったそうです。

仏塔の心柱の存在とは、仏塔を支えるわけではなく、天空から地面へ直に結ぶ道です。本当の意味での心柱の意味とはここに有ったのです。

ちなみに日本古来の神社建築は概ね地面へ直接柱を立てる掘建式ですが、直接地面と接する意味で同じような精神的なものを感じます。

今は存在しない高さ 96m 出雲大社も掘っ立て柱であり、発掘により木製柱の地中埋設部が出土してます。

と書きながら、最古の法隆寺五重塔の心柱はまさに掘建式ですが、実は薬師寺は基石が有ります。その基石が心柱を支え相輪を乗せ天の世界と繋いでいるということになります。

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